別名「季節性アレルギー性鼻炎」という小難しい名前で呼ばれることもありますが、すでに言わずと知れたアレルギー症状でよね?
・くしゃみ
・鼻水、鼻づまり
・目のかゆみ
など花粉症が特徴的な症状として挙げられます。
この花粉症について、当院の患者様でもお悩みの方が多くいらっしゃいました。
実は何を隠そう、私自身も昨年までは本当に重度の花粉症で、この時期は外に出るも嫌でマスクと薬を手放せないという悲惨な状況でした。
しかし今シーズンに入り周りの方々がどんどん発症しているにも関わらず、私自身は全くの無症状、さらに私にも負けないくらい花粉症がものすごく出ていた当院のスタッフも、私が指導をしてから全く症状が出ていないという状況になっています。
今回は一般的な花粉症対と、当院で行った薬を使わない花粉症対策についてお話をしていきたいと思います。
花粉症では常に鼻水をかんだり、くしゃみが止まらなかったりします。このような瞬間的に体に力を入れるようなことをよくするようになるため、この花粉症のシーズンは、アレルギー症状の他にも背中の張りや、首肩周りの筋肉の緊張が症状として出やすくなる傾向にあります。
くしゃみをすることでギックリ腰になってしまう例も多くあります。
花粉症対策をして腰痛の予防をしましょうというのが当院でこのような指導を行っている理由でもあります。
2008年に行われた全国的な鼻アレルギー(花粉症)の調査では、なんと全国民の約40%がアレルギー性鼻炎と答え、30%が花粉症であることがわかりました。特にスギ花粉を原因とするアレルギーは26.5%という結果になり、全国民の4人に一人はスギ花粉症という状況です。
昔は花粉症といえば主に30代、40代に多かったとされていましたが、近年では10代でも3にんに1人、10代以下でも15%近い人が花粉症を発症していると言われています。
さらに調査から10年近く経つ現在ではさらに有病率は増えているといわれています。
当院の患者さまでは、高齢者になってから発症するという方が多くいらっしゃいます。
ご存知のかたも多いと思いますが、花粉症とは「自己免疫疾患」と言って、本来自分を守るはずの免疫機能の異常で、自分自身を誤って攻撃してしまうものです。アレルギーは全てこの免疫機能の異常で発症します。
一昔前までは花粉症は親子で代々発症することから、遺伝的な要素が強いと言われてきましたが、近年ではその考えは改められてきています。
遺伝的な要素よりも「生活習慣」の変化による発症リスクの上昇がいわれています。例えば
・食生活の変化
・不規則な生活
・ストレス
・睡眠の質が悪い
・大気汚染
このような要素が加わると、アレルギー症状は出やすくなってしまうといわれています。
スギやヒノキなどの花粉(アレルゲン)が体に入ってきた時に、それ鼻の粘膜に付着すると、体に有害な異物と勘違いして、それに対抗する「抗体」というものを作ります。そしてその抗体は「肥満細胞」とくっつきます。
その後再び花粉が鼻のに付着すると、抗体がくっついている肥満細胞からヒスタミンなどのアレルギー症状を誘発する物質が出てきて、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状を発症させます。
現在花粉症には様々な治療法があります。花粉症になった際、病院(耳鼻科や眼科)で主にくしゃみや鼻水などの症状に対してアプローチをしていく「対症療法」と、アレルギーの原因を改善するために行われる「根本治療」が挙げられます。
よく「舌下免疫療法」や「減感作療法」と言われる治療が近年注目を集めています。
口の中、舌の裏側に少量ずつのアレルゲンを徐々に投入していき、体を慣れさせることでアレルギー症状を出にくくするという、アレルギー体質を治してしまおうという考えの治療です。
花粉症のシーズン前からこの投与を始め、3か月から長ければ1年ほどかけてアレルゲンに体を慣らしていくという治療法です。
「減感作療法」は舌下投与と皮下注射の二種類あるそうですが、その効果はスギ花粉に対しては70〜80%と高いようです。
薬を処方して症状に対して軽減をはかります。よく病院で処方される薬と効果について下記にまとめてみます。
第一代抗ヒスタミン薬
第二世代抗ヒスタミン薬
これらはアレルギー症状の元である「ヒスタミン」の分泌を抑えて、症状を緩和させるためのお薬です、
副作用として、ぼーっとする、眠くなる、のどが渇くなどがあります。
抗ロイコトリエン薬
抗プロスタグランジンD2
第二世代抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合
ここでもヒスタミンを抑える薬と、血管を収縮させて鼻の粘膜の腫れを抑える薬が使われています。
Th2サイトカイン阻害薬
ケミカルメディエーター遊離抑制薬
鼻噴ステロイド薬・経口ステロイド薬
小難しい話になってしまいましたが上記に出てきている「ヒスタミン」を分泌を止めることで症状を軽減するという考えが一般的のようです。
ではこのヒスタミンとはどんな作用をするものなのでしょうか?
花粉症の方なら一度は聞いたことがある物質かもしれません。症状の強い方なら
「ヒスタミン、この野郎!」
なんて思っている方もいらっしゃるかもしれませんよね?
こんなに苦し思いをするなら、いっそヒスタミンなんかでなければいいと思いませんか?
ですが、実はこのヒスタミンは体にとっても重要な役割を持っている物質なんです。それを以下に挙げていきます。
①アレルギー反応を出す
これは上記でも述べている通り、ヒスタミンはアレルギー物質が体内に入ってくることで、くしゃみや鼻づまりなどの症状を出してしまいます。花粉症が辛くて苦しいものになってしまうのはこのヒスタミンが原因と言っても過言ではありません。
②満腹中枢の刺激
ようは「お腹いっぱい」と脳に感じさせる作用があります。
よく「30回噛んで食べると満腹中枢が刺激されて、お腹がいっぱいになりやすい」と言われていますが、これは噛むことでヒスタミンが多く分泌されて満腹中枢を刺激してくれるからです。
ヒスタミンは実は「ダイエット」にも関係する物質なんですね。
③体の水分量の調整
よく抗ヒスタミン剤を飲むと、喉が渇いたり、口が乾く感じがある。と言います。
これはヒスタミンの分泌が抑制されることで、体内の水分量の調整がうまくいかなくなっているということがわかります。
ヒスタミンは体の中の、水分量が少ないところにたくさん水を送ろうとする作用があります。あまり水をの今ない方でも、口の中がカラカラに乾かないのは、このヒスタミンの作用があるためです。
④脳の活性化
抗ヒスタミン薬を使うと「眠くなる」というのは、ヒスタミンのこの作用を押さえつけてしまうからです。
よく勉強するときにガムを噛んだら集中力が上がる、海外の野球選手もガムを噛みながら試合に出ている、というのはたくさん噛むことでこのヒスタミンの分泌を促し 、脳を活性化させているためです。
どうでしたか?
一概にこのヒスタミン、薬を飲んで分泌を止めるのも勿体無い気がしますよね?
ヒスタミンは上手に体と付き合っていけば、あなたの体をとても元気に、健康に保ってくれる手助けをしてくれる、いわばパートナーのような存在です。
問題はこのヒスタミンの分泌量を自分自身でうまくコントロールできなくなってしまっているのが問題であると考えています。
つまり花粉症のつらい症状はこのヒスタミンの過剰分泌をコントロールできるようになれば、軽くなるんじゃないのか?
というのが私の考えです。
実際にワンシーズンで花粉症の症状が改善し、現在は全くと言っていいほど症状が出ていないので、試してみる価値はあると思います。
上記にも記した通り、ヒスタミンの分泌を正常にコントロールできるようになれば、花粉症の症状は軽減するのではないかというのが大事なポイントです。つまり、なぜヒスタミンの分泌をコントロールできていないのか?
そしてどうすればコントロールできるようになるのか?
ここまでかなりもったいぶった書き方をしてきましたが、このヒスタミンの分泌量は体の水分量と関係しているといわれています。
本来ヒスタミンは体の中の水分を調整し、水分の多いところから水分の少ないところに水を移動させる役割を持っています。しかし、身体の中の水分が少なくなってしまう(脱水状態になる)と、ヒスタミンを過剰に分泌してしまうのです。
つまり、花粉症のつらい症状を軽減させるために私がやったことは
「水を飲むこと」
たったこれだけです。
適切な期間、適切な量の水を、適切な摂り方をすれば、ヒスタミンの過剰分泌を防ぐことが出来、症状が劇的に変化するという例を沢山みてきました。実際に重度の花粉症で悩んでいた当院の患者さまやスタッフでも今年は全く症状が出ていないといいます。私自身もそうです。
では一概に「水を飲む」といっても、実際どのように飲めばいいのでしょうか?
当院では体重20㎏につき、1ℓの水を飲むように指導しています。
人間が代謝をしたり、排泄をしたりするのにこれくらいの量が望ましいと考えているためです。(やや多めにしどうしていますが、無理はなさらないでください。)
まずは現在の自分がどれくらい水を飲めるのか知る必要があります。大きめのペットボトルに水を入れ、一日かけてどこまで飲めるのかを測ってみましょう。一日に自分が飲めた量に+500mlくらいから始めてみると負担なく始めることが出来ます。
ここでいきなり無理をしてしまうと、「水毒症」といって気分が悪くなったり、体調を崩してしまうこともあるので無理は禁物です。無理のない範囲から始めてみましょう。
基本的には食事の時間と合わせて飲むのが望ましいとされていますが、仕事でトイレの時間が限られている方やゆっくり食事をとれないという方はまずは一日かけて目標の量を飲むことを心がけるのがいいでしょう。
コーヒーや紅茶は飲んだ水の量にカウントしない方が良いです。普通の水が望ましく、飲み水であれば基本的になんでもいいです。しかし注意したいのは、氷水など極端に冷たいもの、カフェインの入ったもの、糖分の強いものは控えましょう。これらは体の中に入ってから水として吸収されるまで時間がかかってしまい、かえって脱水の原因になることもあるのです。
④飲む期間は?
飲み始めてすぐに変化の出る人もいますが、基本的には3カ月は継続して飲んでみましょう。水分が体に定着し、取り込める水の量が増えてくるのにそれくらいはかかってしまいます。
以上を気を付けて水を飲んで、今年の花粉症の対策をしてみてはいかがでしょうか?